2021年11月15日月曜日

 犀川 カゲロウの釣り

きのう犀川で釣り真っ最中の友だちから、「いま、すごいよ」との連絡があり、今日の午後、ポイントで待ち合わせ。

きのうはブラウン45センチをドライで釣ったとのこと。

しばらく減水したプールを眺めていると、12番サイズのやや大きなカゲロウが流れています。雑談をしながらライズを待っていると、モワーっとリングが広がります。

「やっていいよ」と言うので、遠慮なくやらせていただいたが、ライズを見るとどうしてもループが乱れる。安いフライラインはひどい巻グセで、おかしな空気抵抗が発生するし、リーダーもテーリングして絡まるし、情けないことをしているうちに、魚が警戒。


友人は下流に移動し、しばらくするとヒットさせている。お互いフライ歴は30年ほどだが、現在では彼のほうがだいぶ腕が良く、差をつけられてしまった。

それでもライズがあちこちであり、その中の1匹を釣ることができた。長い友人とはいえ、片方が良い釣りができて、もう一方がボウズだったりすると、なんとも気まずい雰囲気になる。1匹釣れて、気分も楽になった。おサカナさん、ありがとう。



2021年10月26日火曜日

 犀川 コカゲロウのマッチ ザ ハッチ

犀川は先週よりも、さらに減水しています。水も澄んでいて、ふだんは立ち込めないポイントにも、接近できます。橋から見ると、川のド真ん中まで立ち込んでる釣り人もいます。

気温も高いし、風もそよ風。そのせいか、広いプールにはたくさんのコカゲロウが飛んでいます。もっと大きなカゲロウもいます。

それなのに、ライズがない。。。水面には、黄色いコカゲロウが次々と流れてくるのに。

仕方なく、ニンフやウエットをあれこれ交換しながらアタリを待つものの、無反応。

やがて日が傾き、風が冷たくなり、水面を流れるコカゲロウも減ってきました。

「きょうはダメだったか」

そう思いながら、薄暗くなったゆるやかな流れを見ていました。

すると、水面に波紋が広がった気がしました。もしかしたら、あまりにもライズを待ち望んだ脳ミソが、幻覚を引き起こしたかもしれない。それでもライズのあった付近に近寄ってみると、小さな波とともに、波紋がゆっくり広がります。

やや上流側からコカゲロウのフライを着水させて流し込むと、波紋が広がりました。小さなフライなので、そのまま待っていると、竿に魚の引きが伝わってきました。

35センチほどのブラウンでした。水中では小さく見えましたが、寄せてみると思ったより良いサイズでした。
このあと、同じぐらいのサイズが2匹釣れました。
フライは、コンパラ イマージャー (16番)です。
コンパラ イマージャーというと、いかにもって感じのマッチ ザ ハッチ野郎のフライですが、私の感覚では、「ハックル無しエルクヘアカディス」。
エルクをフックに縛っただけ。
味も素っ気も無いですが、
1 空気抵抗が少なくキャスティングトラブルが少ない。
2 ウイングの形を指先で変えられる。イマージャーから、ダン、スピナーに早変わり。
3 沈んだ状態でも釣れる。スイングや逆引きでもヒットする
など、とても使い勝手が良いです。
フックがマスタッドの16番なので、ティムコだと18番ぐらいのサイズです。

それにしても、今回釣れた犀川のブラウン、コカゲロウが大量ハッチしている時には食欲が無く、日が暮れて餌が少なくなったとたんに、焦ったように食欲が旺盛になるという気まぐれ。
パーティーや宴席で、目の前にご馳走が溢れてると手をつけないのに、テーブルを片付け始めると急に食べだす酔っぱらいに似ている。


追伸です。 休日の夕方、長野市方面に向かうクルマは、国道19号の片側通行で、大渋滞に巻き込まれます。この日も水内ダムから小田切ダム間で、1時間以上の渋滞でした。







2021年9月21日火曜日

 W.F.HARDY 8フィート 5番

W.F.HARDYという竹竿は、1960年代初期に販売されました。時代がグラスロッドへの移行期で、ハーディという会社としては、グラスに注力したかったのか、市場でも竹竿が時代遅れの印象だったのか、数年で廃盤になってしまいました。

ただウイリアム フレデリック ハーディさんがデザインしたこのシリーズは、根強いファンがいたらしく、1980年から2000年あたりにかけても、販売代理店からの依頼があると、受注生産していたようです。

写真の5番8フィート 3ピースは、1986年製です。 全体的に張りがやや強い竿ですが、渓流などではティップ部分だけを曲げるようにしながらの投射で、ドライフライで釣り上がり、イブニングではその渓流が流れ込むダム湖で、大きめのウエットフライの釣りができたりと、実戦的な竿です。

今年は8月の豪雨のせいで、濁流になってしまった渓流も、9月になってようやく水が澄みました。禁漁期も近いので、名残惜しい気分で、イワナ釣り。


いつもは10番前後のハンピーなど大きなドライを使いますが、この日は小型のカゲロウにライズしているイワナに無視されて、16番のパラシュートに替えて、ようやく釣れました。
もう夕方5時30分で、あたりの景色は薄暗くなります。



2021年7月31日土曜日

    北越雪譜 漁夫の溺死

北越雪譜には、越後という土地柄、鮭の話題もあります。その中で印象的なのは、漁夫の溺死、という話です。

千曲川(江戸時代は信濃川とは呼ばなかった)に鮭が遡上するのですが、高い崖のきわの流れが、鮭の通り道になっていたようです。そこの鮭を捕獲するために、崖の上からゴンドラ状の柵を縄で吊るし、その柵に乗って、柄のついたすくい網で、鮭を捕っていたのですが。

仲の良い夫婦におきた悲劇です。

     現代語訳 北越雪譜 監修 高橋 実

             訳  荒木 常能


   北越雪譜 越後湯沢 鈴木牧之 編選

        江戸   京山人百樹 冊定

   

   北越雪譜 初編巻の下


   搔網

 「カキアミ」とは掬網(すくいだま)である。鮏(注、サケのこと。本来のサケの漢字は、この鮏の字が正しく、鮭は誤用したものが定着してしまったと鈴木牧之さんは解説している。こだわりがあるらしく、最後まで鮏の字を使っている。ちなみに鮭は河豚フグのことだったらしい)をすくい取ることをいう。その掬い網の作り方は、又のある木の枝を曲げ、飯櫃(いいびつ)のような形にして、これに袋のような網をつけ、長い柄をつけてすくいやすいようにする。川岸の切り立ったところに沿って鮏は上るので、岸に体がようやく上がるような棚を作り、ここで腰に魚槌(なづち)をさし、鮏を搔網で探ってすくい捕るのである。岸が絶壁になっているところでは、木の根に藤縄で括って棚を吊り、ここで搔網することも稀にある。幾尋とも分からぬ深い淵の上にこの棚を吊ってここに上がり、一本の縄に命を託してこの仕事をすることを恐ろしいと思わないのは、この仕事に慣れたからであろう。




   漁夫の溺死

 ある村に(不祥事なので、詳しくは書かない)、夫婦で母の面倒を見ながら、五つと三つになる男の子と女の子を持っている百姓がいた。毎年、鮏の時期になるとその漁をして収入の足しにしていた。この辺りの川は岸が切り立っているため、村の者は各自で岸に棚を作り、カキアミをしていた。

 絶壁のところに棚を作る者もないせいか、鮏もよく集るので、この男はここに棚を吊り下ろし、一本の綱を命綱として鮏を捕っていた。十月ころになって雪の降る日には鮏も多く捕りやすいので、ある日のこと、降る雪をものともせずに簑笠で身を固めて朝から棚にいて、鮏を捕っていた。畚(ふご)に溜まったときは、畚にも縄をつけ、まず棚を吊った綱で絶壁を登り、畚を引き上げていた。綱にすがって登り降りするのにも慣れて、猿のようであった。食事のときにも登った。この日も暮れたが、雪は降り止まず荒れていた。荒れた日の鮏は捕りやすくなるので、また棚に行こうというのを、母や妻がとめたが耳を貸さずに松明を用意して棚に来た。果たしてカキアミするとたくさんの鮏が捕れた。謡曲の『鵜飼』に謡われているように、「罪も報いも、また来世の因果も忘れて」熱中して、時が過ぎていった。

 妻は、母が布団に入り子供も寝かせつけたので、この雪の中で夫はきっと凍えているだろう。迎えに行って連れて帰ろうと、蓑を着て蓑帽子を被り、松明を照らし、もう二本の松明を腰にさし、カキアミの場所にきて松明をさしかざしてのぞいた。そして、はるか下の夫に、「寒いでしょう。もう夜も更けました。やめて帰りませんか。あたたかいご飯もでき、酒も買っておきました。松明もなくなったでしょうから、もう帰りましょう。この雪でカンジキも必要になりました。それも持ってきました」。この言葉も西からの強い風雪のためによく伝わらず、なおも声を振り絞っていえばようやく夫も気がつき、「喜んでくれ、鮏は大漁だ。あしたはあつまってうまい酒を飲もう。もう少し捕っていくから、お前はさきに帰れ」という。それならば松明をここに置こうと点けたまま、棚を吊っている木の又にはさみ、別の松明に火を移して妻は家に戻った。これが、夫婦のこの世の別れになったのである。

 妻は家に帰り、炉に薪を入れ、温かい食事を食べさせようといろいろ用意して待っていたが、なかなか帰らない。待ちくたびれて再びカキアミのところにきたところ、はさんでおいた松明が見えない。持っている松明をかざして下を見ても光はよく届かず、夫の姿もはっきりしない。声を限りに夫を呼んでも答えがない。棚にいないのだろうか、それにしてもおかしいと、心を落ち着かせて松明を照らして、崖から登った跡でもあるだろうかとあたりを見ると、先程木の又にはさんでおいた松明が燃え落ちている。これに気づいて、もってきたたいまつを照らして、なおしっかり見ると、棚を吊っておく綱が焼け残っている。これを見た瞬間に胸が迫り、「松明がここに焼け落ちて綱を焼き切り、棚が落ちて夫は深い水の中に沈んでしまったことは間違いない。たとえ泳ぎを知っていたとしても、荒れた真っ暗な夜中に、流れの急な川に落ちれば手足が凍えてしまって助かることはないだろう。どうしよう、どうしたらよいのか、姑に言い訳がたたないではないか」と涙を降らすように泣いて、「私も一緒に死のう...」と松明を川に投げ込み、身を投げようとした。しかし、また考え直し、「私が死んだら、あとに残された老いた母さまと幼い子供たちを養うものもいない。手をつないで、路上で物乞いするしかないでしょう。死ぬに死ねない身になってしまいました。許してください、お前さま」と雪に伏し、焼け残った綱にすがって声を上げて泣いたのである。

 こうしてもいられず、泣く泣く焼け残りの綱をその証拠に持って、暗い夜道を松明もなく吹雪に吹かれながら、涙も凍るかのように立ち帰った。夫の死骸も見つからなかったと、その村近くの友人が、近頃あった話として、先年話してくれた。


  畚 捕った魚を入れておくざる。びくのこと。


  注 網(あみ) 綱(つな) よく似た小さい活字は混同しやすいです。

2021年7月30日金曜日

 北越雪譜 雪中の虫

鈴木牧之の北越雪譜には、冬の雪景色の渓流で羽化する黒い小さなカワゲラやユスリカについても書かれています。フライ用語なら、小さなストーンフライやミッジです。

江戸時代は虫というものを、現代人の昆虫というよりも、もっと広く定義していたようです。見えないが何かが、病気、腐蝕、劣化の原因になっていることまでは理解していたようで、その原因を目に見えないレベルの極小の虫によるものと考えたようです。現代人だって、なにかの病気になった原因が、ウイルス、病原菌、細胞の変異など、明確な答えは科学や医療の進歩とともに変わるので、専門家でなければ、「虫」でも良いのかもしれません。

それにしても鈴木牧之さんの中国の書物やオランダの学説など、博学さと探究心がすごいです。


     現代語訳 北越雪譜 監修 高橋 実

              訳  荒木 常能 野島出版


    北越雪譜 越後湯沢 鈴木牧之 編選

         江戸   京山人百樹 冊定


   北越雪譜初編巻の上


   雪中の虫


 唐土の蜀の峨眉山には夏も雪が積もっていて、その雪の中に雪蛆(せつじょ)という虫がいるということが『山海経』(唐土の書物)に書いてある。この話は本当である。越後の雪中にも雪蛆がいる。この虫は、早春のころに雪中に生まれ、雪が消えると虫もいなくなる。生死を雪とともにするのである。辞書を見て考えるに、「蛆」は”腐中の蝿”とあるので、いわゆるウジである。「䖧(たつ)」は字は似ているがサソリの類をいい、人を刺すとすれば蜂の類であろう。したがって、雪中の虫は「蛆」と書くべきである。だとすれば、雪蛆は雪中の蛆蝿である。木火土金水の諸元素からは、すべて虫が生じる。木の虫、土の虫、水の虫はいつも見ているので珍しくはない。蝿は灰から生じるが、もともと灰は火の燃えたあとの粉である。だから、蝿は火の虫である。蝿を殺してその形があれば、灰の中におくと生き返る。また、虱(しらみ)は人の熱から生じる。熱は火である。火から生じた虫だから、蝿も虱も温かいところを好む。金属の中の虫は、肉眼では見えない埃のような虫だから、人間には知られていない。銅や鉄が腐ってくる最初に虫が生まれるので、その所の色が変わるのである。生じた錆をよく拭いておくと、虫を殺すので腐らなくなる。錆びるのは腐ってくるはじめである。錆の中には必ず虫がいる。肉眼で見えないから人は知らないだけである。(これは、オランダ人の説である)。金属の中でさえ虫がいるのに、雪中に虫がいない訳はない。しかし、いつもいるとは限らないから、珍しいこと、不思議なこととして唐土の書物にも記してある。私の住む越後の雪蛆は、蚊のように小さい。この虫は二種類で、一つは羽があって飛び、一つは羽があるが、これを使わず這い歩く。どちらも足は六本で、色は蝿のように淡いが、一つは黒い。住むところは蚊と同じく町中や野である。しかし、人を刺すことはない。虫メガネで見たところを図にしておくので、学者の感想を聞きたい。




 峨眉山 中国四川省にある山で、標高三〇九九メートル。四川省は三国時代の蜀の地。


 雪蛆 峨眉山に住む雪蚕のこと。長さ十五センチほどで、甘美な味がするという。


 『山海経』 各地の山や海の動植物、怪異などを記した、中国古代の書物。


 越後の雪蛆 一種はユスリカと考えられる。幼虫時代は渓流ですごし、サナギは流れの中で羽化し、雪上で交尾して水面で産卵する。もう一種は、フタトゲクロカワゲラのようなもので、ユスリカと似たような成長を遂げる。(插絵解説図参照)



2021年7月29日木曜日

 北越雪譜とカディスのスーパーハッチ

江戸時代の北越雪譜という紀行文学。

越後の山間部の暮らしを、鈴木牧之さんという人が、旅をしたり、地元に伝わる話などをまとめた力作です。北越雪譜のほかに、秋山記行という越後と信州の隔絶された山間部の紀行文が有名です。


北越雪譜の中に、渋海川という川で、ヒゲナガのスーパーハッチが見られる話があります。図では、大勢の人が、桜の花見でもするように、河原に集まり、宴会などをしています。


現代語訳 北越雪譜 鈴木牧之

          監修 高橋 実

          訳  荒木 常能


  

北越雪譜初編巻の下  越後湯沢 鈴木牧之 編選

           江戸   京山人百樹冊定


   渋海川のサカベットウ


 越後では、蝶を「ベットウ」という。渋海川の流域では、「サカベットウ」という。いろいろな虫が羽化して蝶になるが、大きいものを蝶といい、小さいものを蛾という(『本草綱目』)。その種類は大変多い。草や花が蝶に化すことは『本草綱目』に書いてある。蝶のやまとことばを「カワヒラコ」というのは『新撰字鏡』にあるが、サカベットウという呼び名については考証していない。

さて、前に述べた渋海川の春の彼岸のころ、数百万の白い蝶が水面から二、三尺上、高さ一丈くらいになり、両岸までいっぱいで羽が触れ合うほどの大群となって、川下から川上へ飛んでいく。そのありさまを花吹雪と見るのはまだ言い足りない。数里の流れに霞がかかったように、朝から夕方まですべて川上に続いて果てもなく、川の水も見えないほどである。この蝶が、日が暮れようとするとき水面に落ちて流れ下る。その情景は、まるで白い布を流しているようである。

 この蝶は灯火に飛んでくる蛾くらいの大きさで、白い。越後には、大小の河川が何本も流れているが、この渋海川だけ毎年この情景が見られるのは珍しいことであった。しかし、天明の洪水から後は、これがなくなってしまった。

 『本草綱目』を参考にして考えたが、「石蚕(せきさん)」、またの名を「沙虱(すなしらみ)」というものが、谷川の石について繭をつくり、春夏に羽化して小さい蛾となり、水上を飛ぶという。このサカベットウは、渋海川の石蚕であろう。その卵が洪水で流れてしまったために、絶えてしまったのである。ほかの地にも石蚕が生まれる川があれば、この蝶がいるだろうが、私にはわからない。

 私はこの蝶を見たことがないので、若いころ渋海川のほとりから嫁いできた老婦人に尋ね、その老婦人の話のままに記した。


 『本草綱目』 「本草」とは、薬用になる動鉱植物の称で、明の李時珍が約千九百種の本草について解説をつけた書。一五九六年刊。


 『新撰字鏡』 昌住の著した漢和字書。平安時代の寛平のころできる。その虫部に、「蝶、加波比良古」とある。


 石蚕 トビケラ。蛾に近似するが鱗毛が多い。幼虫は水中にいて水草や砂で巣を作る。成虫は水辺にすみ夜行性。


 渋海川 東頸城郡松之山町三方岳を源に、中魚沼郡、刈羽郡、三島郡を流れ、長岡市域で信濃川に注ぐ。全長七〇.六キロの一級河川。長岡市はもと古志郡。

 





2021年6月21日月曜日

 犀川が復調してきました。

午後4時に到着すると、まだ日差しが強く、暑さでクラクラするほどです。

イブニング予定のプールを下見しましたが、夏至の4時というのは、ほぼ日中なので、水面は太陽が照り返し、水生昆虫の羽化もなく、当然ライズも無し。

しかしこの暑い中、ひたすら河原で待つのも嫌気が差すので、とりあえず様子を見るために、大型ドライフライで釣りを開始しました。

すると数投目に着水したフライに、勢いよく飛びついてきた魚がいました。

斑点の大きなブラウンです。サイズを測ろうとしたら逃げてしまいましたが、47センチ前後かと。

ドライフライというのは、あらためて不思議な魔力があると思いました。魚たちは、水生昆虫の90%はニンフやイマージャー状態で食べ、水面の羽化した成虫を食べるのは10%程度と専門書で解説されたりします。
ところが実際には、日中の大きな川の深いプールで、虫たちが羽化してない状況でも、水面にドライフライを流すと、どこからともなく魚が突進して来る。

マッチ ザ ハッチの理論、その時々の釣り場で、魚の餌となっている食物の状態を模倣することだけが正解、というのは、あくまで人間側の脳内理論に偏向しすぎかもしれません。本物の虫や小魚の姿や動きに似せることばかりに気を取られると、フライパターンも釣り方も窮屈なスタイルになってしまいそうです。


夕日が山に隠れると、景色も雰囲気もかなり良くなってきました。やがて、ヒゲナガも舞い、ライズも始まりました。
すると、フライが大きな輪に吸い込まれました。
 
さきほどと同サイズのブラウンです。
フライも、さきほどの魚と同じ8番ソファピローでした。

これはフライフィッシングの永遠の疑問なのでしょうが、同じフライパターンを使っていて、暗くなってから釣れたブラウンは、あきらかに本物のヒゲナガと間違えて食いついたのですが、明るい時間のブラウンは、いったい何に見えて食いついたのか? そのきっかけとなる動機は? どのような魅力があったからなのか?

それがわからなくて、あれこれと空想を巡らせるのが、この釣りの魅力かもしれません。




2021年6月14日月曜日

 犀川 フラッタリング カディス

犀川は先月の大雨から、支流の高瀬川から砂混じりのメロン色の水が放水されています。土手には、新雪のように、新しい砂が積もっています。

こんな時は、なぜか魚も沈黙して反応が乏しくなりますが、ようやく復調してきました。

対岸まで150メートル以上ある広いプール。重量感のある流れ。シューティングヘッドでもスペイでも、フライラインは着水と同時に流れに押されて、魚にアピールする余裕もないまま、下流岸側に横滑りしてしまいます。
なので、ドライフライの釣りも、ナチュラルドリフトと言うよりも、結果的にダウンクロスへのフラッタリングになってしまいます。
小雨の中、フライが水面に航跡を描きながら、岸近くに来たときに、ゴボンと魚が飛びつきました。
30センチぐらいのブラウンです。潜りながらよく引いたので、40センチ近いかと思いましたが~。
フライは、ソファ ピロー。
そんなパターンの名前を知ったのは、使い始めてずいぶん年数が過ぎてからです。自分としては、テイル付きエルクヘアカディス。浮力を増すために、テイルを追加しただけ。
フライやテンカラ毛鉤の趣味は、知ったかぶりをする人が多いので、「カディスには、テイルはありませんよ」などのありがたいアドバイス?も。その後になって、スティミュレーターやフレディが海外パターンで紹介されると、それらのテイル付きエルクヘアカディスは、日本でも激流や本流の人気パターンに。

フライパターンは、釣りの実体験を通して、改良され続けるものなので、過去から現在までのさまざまな自称名人たちのパターンを真似ても、自分の釣り場や釣り方に合わないと、魚の反応はイマイチだったりします。
魚に聞きながら、自分だけのフェイバリットを探すしかないということですかね。

釣りの後は、信州新町のあさひや。
ラストオーダーは夜8時頃です。


カレーライスのテイクアウトもできます。
650円で、とてもおいしいです。

2021年5月16日日曜日

 2021 犀川 ヒゲナガ ドライ

犀川もヒゲナガのシーズンIN。

今年は国道19号全面通行止めなどもあり、出遅れたスタートになってしまいました。

夕方5時半に、お気に入りのポイントに到着しましたが、まだヒゲナガのハッチは無し。

ただ、大きなランで、ドライを流し始めると、反応がありました。

30センチほどのニジマスです。銀毛して、湖のヒメマスのように輝いていました。
釣り始めてすぐに釣れたので、きょうは期待できそうと思いましたが、どういうわけか、少しずつ下りながらドライを流しましたが、あとが続かない。

夕暮れになると、ヒゲナガのスーパーハッチが始まりました。ヒゲナガの群れが、下流から上流へ、隊列で移動して、顔にも当たるし、私の周囲だけ、集団が乱舞してます。
なのに、水面はまったく静かで、魚たちのライズがありません。水中でピューパでも食べてるのかと、ソフトハックルも使いましたが、アタリも無いです。

だんだん暗くなり、最後にもう一度、ドライにしましたが、相変わらずライズなし。
きょうは、まあ一匹釣れたからいいや、と土手の道を帰り始めたとき、枯れたススキのある岸の近くで、ポチャン! と小魚のようなライズが。
何気なくキャストすると、小さな水飛沫があって、フッキングしました。ロッドを立て寄せてくると、引きは小魚よりは大きそうです。
ところが、突然動かなくなったと思ったら、すごい重量とパワーで、沖の流芯へ向かって一気に走りだし、数十メートル先で立ち止まりました。
竿には、魚が頭を振るのと、ラインに当たる水流の圧力が伝わってきます。

しばらく膠着状態のあと、魚も疲れたらしく、リールを巻くと、寄ってきます。岸際まで寄せ、何度か抵抗されたものの、なんとかランディングできそうだと思いましたが、自分が土手にいて、魚は重いし、その間にはブッシュがあり、ちょっと困った状態になりました。
魚をブッシュのないところに誘導しようと、歩きはじめた時、ふわっとした感触とともに、竿が軽くなり、バレてしまいました。「ああ」と情けない声を出し、ガックリ。ラインを回収すると、フライは付いていて、ティペットが切れたのではなく、フックが外れたようです。

ついに魚の姿を見ることもできなかったので、レインボーなのか、ブラウンなのか、またサイズもわからないです。
ただ、大物がいる。確認できたのが、収穫です。


2021年5月10日月曜日

          TIFA Fallriver 5番 8フィート8インチ

    ティファ フォールリバー CKF 885-3


渓流にイワナ狙いで行きましたが、、、

豪雪地帯の渓流は、例年ゴールデンウィークの頃に、雪解けの大増水になりますが、今年は雪が少なかったので、もしかしたらと期待して。

ところが、ダムからの増水で、岸近くのわずかなポイントしかないし、ニンフやアトラクターフライを沈めて、夕方まで粘りましたが、反応ゼロ。

あきらめて、湖へ。

連休で、釣り人も多いですが、眺めていると、夕暮れの湖面には、大きな波紋が。岸近くには、小指サイズのワカサギがいます。



急いで、フライの準備。渓流用のタックルなので、5番のダブルテーパーに、ストリーマーという、ややアンバランスな組み合わせですが。

しばらくすると、射程距離内に連続した波紋が広がり、ピンク色のストリーマーを引き始めてすぐに、大きなアタリがあり、グイグイ引きます。

30センチほどのスモールマウスです。
元気が良く、何度も竿を曲げて、潜りました。
TIFAのフォールリバーという竿、5番で8フィート8インチ。グラスロッドのように見えるかもしれませんが、ブランクはグラスとカーボンの混合ロッドかと思います(正確なことは、わかりませんが、3ピースのフェルールのオス側の素材は、カーボンです)
グラスロッドに比べると、ブランクは細く、軽量。
それでいて、カーボンよりも、ゆっくりとトルクのある感じのアクションです。
渓流などで、短めのラインで釣り上がるときは、軽快なティップアクションで、堰堤や広いプールで長いラインをキャストするときは、バット部分から曲がるように設計されています。ハーディの竹竿に、ファントム5番8フィートという竿がありますが、それに似たアクションで、とても扱いやすい竿です。3ピースで、持ち運びも便利です。


ワカサギには、似ていません。ただ魚たちには、ワカサギに見えるようです。





2021年3月14日日曜日

    コータック CR56 買う時の注意

フライリール coatac CR56は、頑丈で、とても愛着のあるリールです。クリック式で、ドラグ調整の機能さえありません。アウトスプールなので、「そんなもん不要だろ」という潔さ。ライン収納量もじゅうぶんにあり、コートランドのダブルテーパー6番、30ヤードの長さが収納できます。本体の重量もやや重い125グラムで、バンブー、グラスロッドに合います。

値段もリーズナブルで、ヤフオクなどでは3000円以下が相場のようです。6番ぐらいの釣りは、フローティングラインのほかにも、ティップシンク、湖用にモノフィラと組み合わせるシューティングヘッドなど、釣り場に合わせたシステムで対応する楽しみもあり、替えスプールの数も増えてしまいます。そんなときに値段が安いCR56は、ありがたい存在です。

ただ唯一、注意したいことがあります。それはロッドのリールシートとの相性です。CR56には、フットの形状、長さ、厚さが違うものが混在しています。

コータックは長くハーディの輸入代理店をしていたので、ハーディのロッドなら合うだろうと思いたくなりますが、ハーディも竿やリールによってバラツキがあり、そのバラツキにコータック、またはリールメーカーが合わせたために、さらに混乱したかもしれません。とにかく買ってみて、合わせてみなければ、装着できるかわからないです。

下の写真は、リールフットが厚いタイプです。フットが厚すぎて、ハーディのスマグラー6番のリングに、入りません! こちらをタイプAとします。



次の写真は、リールフットが薄いタイプです。スマグラーに装着できます! こちらをタイプBとします。

次に、タイプAとタイプBの、見分ける方法です。
リールのフット裏側を見ます。


下側のフットには、刻印された BRITISH MADE のマークがあります。こちらが、フットの薄いタイプBです。こちらのほうが、グラファイトのデラックス、ソブリンなどにも装着できます。

上側のマークなしで、フットの厚いタイプAは、1980年代以前のグラスロッドやバンブーに装着できます。

ほかのメーカーとの相性については、よくわからないです。ただ、薄いほうのタイプBなら、フット裏にシールなどを貼って調整できます。いっそのこと、安いリールなので、AとB、両方を持っていれば、さまざまなメーカーのリールシートに合わせられるかと。

スプールはA,B間で、互換性あります。

それと、コートランドのRIMFLYというフライリールも、同じ製品です。
右側のリールで、中央にRIMFLYの文字、フットもAとBの両タイプがあります。

文字がかすれていますが、左がコータック、右がCORTLANDの表示です。

追加画像です。コートランド社のRIMFLYリール。
エンブレムマークが違うだけです。ただ、このエンブレム、なかなかカッコいい。

















2021年2月10日水曜日

犀川 2021 1月31日

犀川で釣れなかった。

犀川も、簡単ではない。

犀川が簡単に大物が釣れるとの自称名人の記事やブログも多いが、それは放流直後のニジマス狙いや、ヒゲナガのスーパーハッチ時の話で、一年でそんな条件の良い日は案外少ない。難しい状況の釣りを繰り返していると、同じニジマスでも、簡単な時と、川が沈黙した難しい時では、まったく別の魚のような気がしてきます。



ふだんは写真左側の放水口からの水がメインで、右側の本流に見える流れがチョロチョロですが、きょうは逆でガンガン流れでした。

ダム側からの放水でした。そのせいか、水は透明ですが、ゴミなども混ざり、魚の反応もなし。

よく通うプール。
野球場ぐらいの広さ。
ダブルハンドで50メートルキャストできる人でも、対岸には届かなかったです。水深も、岸からすぐに、ウエーディングができなくなる深さ。それだけに、大物の期待にルアーをやる人が多い。この日も、山梨県から、年券を買って、犀川に通っているルアーの人がいた。

日没まで粘り、アタリさえなく、帰路に。
こんなときに、おすすめなのが、信州新町の「あさひや」
各種定食、ラーメン、カレーなどの食堂。
とくに、一押しは、馬肉定食。
馬肉が、しぐれ煮のように、醤油と砂糖で煮込んであり、とてもおいしいです。
各種定食、800円~1000円ほど。写真上のふつうのカレーは、650円ぐらいだったような。

下の写真のような超大盛りカツカレーもあって、それは1200円ぐらい。トレーの大きさから、ふつうのカレーと比べてください。中高年になると、完食はかなり厳しいかと。食べ終わると、ちょっとしたお楽しみが。ほんとに、ちょっとしたものです。勇者はチャレンジ!




国道沿いで、入り口に駐車場あります。








2021年1月26日火曜日

古いフライラインの利用法

~改造シューティングヘッド

いまはさまざまなタイプのフライラインがあって、しかも新品でもお手軽な値段で買えるので、あえて自分で作る必要はないですが、貧乏症のせいか、ついつい古いラインをあれこれ接続させては、川で試しています。

渓流では3~5番のダブルテーパーのフローティングラインをメインに使っています。私は片方をおよそ2シーズン使ってから、反対側を巻き替えてもう2シーズン使います。

4年使うわけですが、それでも劣化するのは両先端数メートルだけで、20メートルぐらいある太い部分は、このまま捨ててしまうのは勿体ないほど、しっかりしています。

ふと、パワーウエット用9番12メートルのシューティングヘッドを購入後、釣り場のバックスペースの関係で7.5メートルにカットしたとき、余ったリアテーパー側4.5メートルがあるのを思い出し、それをブレイデットで渓流で使った古いフローティングラインと継いでみました。

こんな図のような感じです。ダブルテーパーのフローティングラインのやや劣化した先端3~5メートルをカットして、そこへ透明のインターミディエイトの9番のシューティングヘッド4.5メートルをブレイデッドで接続します。ループトウループ方式なら、他のヘッドとの交換もできて、沈みスピードを変えられます。
ブレイデッドとフライラインは、補強のために、絹糸を巻いてから、接着剤で固定します。ヘッドセメントでも、瞬間でも、オッケーです。
以前、熱収縮チューブを使った時期もありましたが、寒い冬場は柔軟性がなくなったせいか、チューブが簡単に外れてしまったことがあったので、この方法に戻しました。
写真暗くてすみませんが、左側がシューティングヘッド、右側がランニングラインになるDT5Fで、中央がブレイデッド接続部です。




今年の1匹目は、犀川周年区間のニジマス。日没直前に、このヘッドシステムで釣れました。竿の番手は、6番がフィットします。
このシステムのよいところは、竿先からヘッド部分を出し、さらに継ぎ目から2~3メートルぐらいランニングラインになるフローティングラインを出した状態でキャストします。すると、ロールピックアップしてワンキャストで20メートルぐらいシュートできます。9番ヘッドが5番ラインを先導していきます。
しかもチカラを抜いて、軽く投げる感じです。竹竿や、ウエット用のマイルドなタイプのグラファイトロッドでも、負担が少ないです。
ティーニーラインに近い構造ですが、こちらの改造ヘッドのダブルテーパー5番の太いところが、ダウンクロスでのメンディングがやりやすくしています。しかも、その太さが、リトリーブ後に次のキャストをするまで足元のラインの絡みを防ぎます。ウエーディングの釣りでは、ラインバスケットを使えば、さらに快適です。(日本のフライフィッシャーには、ラインバスケットはダサいと専門誌などで洗脳された人も多いですが、使ってみると足元のランニングラインの障害物との絡みや、シュート時の流れや波との抵抗を気にしなくてすむので、釣りに集中できます。そのせいか、釣果もアップします。)
また全体の構造がティップシンクになるので、フライの位置も把握しやすく、水面のヘッド側とランニング側との継ぎ目から、約6~7メートル先の下流の中層にフライがある感じです。

それと、ランニングが通常のレベルタイプに比べて、太くて重いと飛距離が落ちるのでは?と心配しましたが、実際の釣りで試してみると、それほど差はなく、むしろティーニーよりもターンオーバーは滑らかです。

開けたプールをメンディングを繰り返しながら、フライを横切らせると、ズンと重みが竿に来ました。

写真はなぜか夜釣りのように写ってしまいましたが、夕方5時半ぐらいです。


フライは8番のウエットで、ライムグリーンです。

山国の冬だというのに、気温が10℃近くまで上がり、雪代水が混ざったのか、笹濁りでした。フライの選択は、水の色と同系が良いのか、反対色が良いのか、濁ったら黒なのか、それとも餌として食われている川虫や小魚に色を合わせるのか、いまだに正解がわかりません。

結果論なら、この日の釣れたフライは水の色と同系色でした。では、ほかの色なら釣れなかったか?と言うと、それも謎です。