wet king 6番 9f
次に買ったのが、ノースランドのウェットキングという、ウエット用の6番9ftの3ピースです。
その当時、英国式の古典的な、やたらと高価な鳥獣の羽や毛皮を使ったウエットフライやサーモンフライを巻いた釣りが流行った。バブル期と重なっていたので、日本の自然には存在しない世界中の生き物の死骸を輸入して、日本の渓流魚を釣るのが、オシャレでカッコいい、という風潮だった。シロクマやアフリカの貴重種の鳥など、これらはどういう方法で採られ、乾燥加工され、輸入されたのか。私もそのことからついつい知らぬふりをしながら、欧州の伝統文化に浸った気分で、それまでの虫っぽい毛鉤から、英国名のついた装飾品のようなフライが入った箱をベストのポケットに入れた。さえない男が、そんなことで何かしらの優越感を求めたのだ。当然のことながら、そのことで女性にモテたことは、一度もない。
ウエットロッドは、しなやかで、小さな負荷でも、竿全体が弧のカーブに曲がる。下流側にラインやリーダーを張った状態でも、魚の食い込みを良くしようという設計になっている。
使い始めて気付いたのは、4番から6番になり、さぞかし遠くに投げられると思ったら、飛距離があまり変わらなかったことだ。それまでの4番のティップアクションは、中間部分からグリップエンドまでは硬くしっかりしてるので、前後にフォルスキャストしていれば、竿に引っ張られながら、ラインも前後に飛ぶ。しかし、このウェットロッドは、すぐにグリップ近くまで大きく曲がり、反発力も弱いので、ラインが長くなると失速気味になり、ループも竿の形状そのままの、広がりぎみで空気抵抗の大きな投げかたしか出来ずにいた。
ひょっとして、間違った買い物をしたかと思った。しかし同時に、どうしたらせめてダブルテーパーラインを20メートルぐらいは飛ぶのかと、自分で研究をしてみた。
その答えは、竿のグリップを前後に振ってはダメで、バットを十分に曲げながら、グリップを上下に移動させるという方法だ。ラインも遠くへ投げようというより、長さを確実に伸ばしていく感覚のほうがいい。グラスロッドや竹竿など、カーボンに比べて鈍重な感触の竿でのキャスティングに悩んでいる人は、一度試してみてください。
ウエットロッドの良いところは、ロールキャストがやりやすいこと。竿の長さもあり、バットから曲がるので、小さな動作でも、長いラインを前方に運んでくれる。ラインはダブルテーパーがいい。メンディングやフリッピングで流しこむ時も、ウエイトフォワードのように、ギクシャクせずに、なめらかです。
この竿、意外なことに、湖でも具合いが良かった。湖というと、張りのあるロングキャストに向いた竿を通常は選択する。ただ、自然湖でも人造湖でも、急斜面でバックは林で、という地形は多い。真夏など、鱒もバスもそんな場所がポイントになる。木から落ちるセミや甲虫を食べている。斜面に座って、大きなドライフライをロールキャストで投げて、波に漂わせたり、ほんの少し誘いをかけると、ガバッと出る。
また観光客が多かったり、障害物があったりで、バックキャストがままならない場所も、ロールがおすすめ。
このニジマスも、夏の日中に岸から10メートルぐらいで釣れました。なぜか7月の日中は、大きな魚が釣れます。8月の高水温にや餌不足に備えて、最後の荒食いをするのかもしれないです。ここのところ、あまりお目にかかれていませんが。
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