3月中旬から、5月中旬ぐらいまで、私のホームリバーは、雪解け水のため、釣りにならない。一般的な釣り用語の雪代水と違い、泥濁りになる。上流にダムが2つあり、そこに溜まった泥水が透明になるのに、2か月もかかる。
写真の電光掲示板の「放流中」は、ニジマスの放流でなく、ダムの放水注意の意味。暫くは、通ってもあまり良い釣りは期待できない。グリーンの濁りは、かえって大物のチャンスの時もあるけど、泥濁りはルアーやフライで、良かった記憶がほとんど無い。ただ、餌のぶっこみ釣りだと、泥濁りでも、釣れる。だから、もっと濁り時の対応を研究すれば、ヒットさせる方法が見つかるかもしれない。その前に、気持ちが折れてしまうだろうけど。
こんな時は、釣り人の特権である、思い出に浸って、精神の利息を受け取るのがいい。
これは、20年も前、日本海で釣ったアイナメだ。或る川の河口で、シーバスハンターというシンキングミノーにヒットした。川は雪解けで濁っていて、ちょうど今ぐらいの時期だ。ヒットの直前、トラウトなのか、シーバスなのか、60cmほどもある魚が何度かジャンプしていたので、ロッドがグイグイ引き込まれて、間違いなくその大物だと思った。岸に上がった魚を見て、予想とはサイズも姿も違い、思考がやや停止した。正直なところ、喜びは無かった。後になってから、アイナメでこのサイズはなかなか立派だと知った。そうしたら、急に自慢の1匹になった。
写真のベイトリールは、アブのウルトラマグ ULTRA MAG XL Ⅱ。初めてのベイトリールで、初めてのABUだ。
20年以上前に、中古で買った。
当時、代理店のブルーカード付きというのが、中古売買における水戸黄門の印籠だった。この保証カードがないと、日本ではニセ黄門の扱いを受けた。にもかかわらず、知人が正規品をカードを添えて修理を依頼したら、目の玉が飛び出る請求金額だったとのこと。なので、ソルトウォーターで使うのは、やめにした。
ラインのバックラッシュに泣きながら、いつもリールを呪った。それが、マグレで釣れると愛情に変わった。
まだ野尻湖が全国区の人気になる少し前、地元の釣り人しかいなっかった頃だ。ラパラのシャッドラップをダーターのように、水面近くで誘ったらヒットした。魚の引きに合わせて、滑らかにスプールが逆回転する。さすがは、ABUだ、と思った(他のメーカーのベイトリールは知らなっかったが)。
体高があって、ブリブリの肉付きの魚体だった。ウルトラマグで、ウルトラマグレの1匹。
竿はウエダのトップウォーター用のグラスロッド。ホームリバーの鱒釣りや、海のルアーチョイ投げなどでも活躍した、お気に入りの竿だ。スピンキャストリールを使えば、軽いミノーやスプーンも投げられる。
残念なことに、このメーカーはロッドの生産をやめてしまった。リールの正規代理店も、変わってしまった。釣りの思い出よりも、現実のビジネスの厳しさが、顔を出す。背筋が寒くなる。自分はいつまで釣りができるだろう。
と言っても、何かの努力やチャレンジ精神などは、やはり出来ない。今のまま、好きな釣りを続けよう。きっとこれが運命だ。先の将来なんて、泥で濁った水中のように、私には見えないし、わからないから。
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