2015年1月17日土曜日

テンカラ、開眼? その7

   秘技? ライゼンリング リフト

ニンフの達人たちの本の文中に、ライゼンリングという人物の名前が何度か出てくる。この本が作られた頃には、彼はすでに亡くなっていた。だから、残念ながら、彼自身の原稿は、この本には無い。
ただ、ソフトハックルの釣り師として有名で、ライゼンリング リフトという技で釣っていたらしい。
彼の釣り仲間のハイディさんとエド・ザーンさんが、思い出話とともに、解説してくれる。

エド・ザーンさんは、次のように書いている。ふたりで川岸に腰をおろしながらの会話から。


わたしは礼を言って、新しく出版されたかれの本をちょうど読んでいるところだと言った。その本でかれは、ウエットフライ・フィッシャーマンは、フライを自由に流しながら、しかもフライとの密接なつながりを保持しなければならない、と主張していた。そこでわたしは、「どうすれば、フライを流れのままに自由に流しながら、しかも密接なつながりを持つことができるのか。現実には、つながりを保とうとすれば、ドラッグが生じるのではないか」と質問した。
「見せてあげよう」とライゼンリングは言って、流れの速くなるプールの下流際におりていった。それまでわたしが考えてもみないほど水際に接近して、かれは毛のうすいウエットフライを2~3ヤード上流に振りこんだ。そのまま竿先をたかく保持して、正面にフライを通過させ、下流側に流してやった。全体として流した距離は、せいぜい、15フィート(4.5メートル)だったが、その間フライは明らかに自然に流れ、マスがフライに触れたとすれば、必ずジムはそれを感じるなり、見るなりしたにちがいない。実演がおわると、かれは、同じテクニックで釣りながら、下流へくだっていった。
~略~。

このあとエドさんは、ジム・ライゼンリングの真似をしたところ、師匠よりもたくさん釣ってしまった、ということだ。また文中で、意図的に、あるいは偶然に、フライが上昇するときに、魚が反応すると書かれている。
ハイディさんは、ライゼンリングが竿先を高くしていくことで、フライの毛先をふるわし、動かし、水面に昇らせ、同時に虫が逃げる様子を表現するのが、ライゼンリング リフトだと書いている。

魚のいると予想した場所に自然に流してから、竿を上げてちょっと誘いをかける。ただこれだけのことだけど、人間は西洋でも東洋でも、似たような毛鉤で、似たような操作を、マスを相手にしていたみたいです。マスの眼には、似たような人間に映っているのだと思います。「棒を持ったロクでもないヤツ~」と。

その8に続きます。



  

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